誰にも見せることのない、私の素顔を知っているのはわが家にいるお猫様たち。自由奔放で個性的な、保護猫たちとの暮らしは、私の人生観を変えてくれたものである。
まず、私の裏の顔を知っている、この子たちの特徴のご紹介からしてみよう。
ジェラシーを燃やす猫
猫がジェラシーなんて・・・・・・と信じ難いかもしれないが、先に家族として来てくれた“おはぎ”はかなりの甘えん坊。そしておはぎのヤキモチは、普通のレベルではない。
そんな、おはぎの「ヤキモチ面白エピソード」をお伝えするには、欠かせない登場人物がいる。それがディズニーのドナルドの小さなぬいぐるみ「もみじちゃん」なのです。
「もみじちゃん」を名付けたのはもちろん、この私。名付けたなんて偉そうに言えるものではなく、ただ“おはぎ”という和のテイストに合わせにいっただけ。
この「もみじちゃん」を抱っこし、可愛いね~、いい子だね~と可愛がる。その瞬間、おはぎのジェラシーが燃え、ぬいぐるみ「もみじちゃん」への猫キック連打が始まる。
幼いころから成猫の今になっても、変わらずまだやっております。
ぬいぐるみにだけでなく、おはぎの後に家族になった“あずき”に対しても、ジェラシーは抱くようなのだ・・・。
私や家族が“あずちゃん”と呼ぶと、即反応。あずきとコミュニケーションをとっていると、少し離れたところから目をそらさずじっと見ていることなんてしばしば。
しかし、不思議なことにあずきに対してジェラシーは燃やしても、攻撃をするのは「もみじちゃん」にだけ。
2人は仲良し。というより、あずきはおはぎが大好きなのです。
理由はきっと、あずきが赤ちゃんだった頃の出来事が、大きく関係していると思います。
もしあの時、おはぎがいなかったら、あずきは家族として今一緒にいなかったかもしれないから。
今流行りの「あざと可愛い」を駆使する猫
これまたあざと可愛いなんて、嫌いなアナウンサーから一転、女性からの支持がアツく、写真集もバカ売れのあの人ではないかと思いうかもしれないが、わが家の猫”あずき”のあざと可愛さはそれを上回るかもしれない。
あずきは、小柄で声がとっても可愛い。体は弱いが、気が強い。
足腰の筋力が弱いせいか、しゃなりしゃなりと、セクシーな歩き方をするのも特徴です。あと抱っこがキライ。
眉間のところに白い縦のラインが入っているせいで、怒り顔に見えがちなのですが、抱っこをされた途端に迷惑そうな表情になり、不機嫌そうな顔に磨きがかかるのです。
嫌がることをしたくない、ということもありますが、爪カットや、何か必要なとき以外は、ほぼ抱っこする機会を与えてはもらえません。泣
用事があるときだけ可愛い声で誘われ、でもスキンシップはおあずけ。
しかーし! おはぎにだけは、甘えてすり寄っていく。
これに関しては、あずきにとっておはぎは生きる力をくれた恩人だから仕方がない。
わが家はどちらも保護猫なのですが、お家にやってきた時とても小さかったあずき。日に日に食欲がなくなり、だんだんミルクを飲む量も減っていきました。
小さな体をタオルで温めたり、ミルクを少しでも飲ませようと、当時は母と交代で24時間様子を見ていましたが、ある日、もうミルクを飲もうとしなくなり、目を開けることもない。
その姿は今でも覚えていますが「生きるのを諦めた瞬間」を見た気がしました。
何をやってもダメなのか、小さな体はもう限界なのかもしれない、と思ったときに、おはぎが近づいてきて、あずきの頭をペロっと舐めた瞬間、あずきが声を振り絞ったのです。
そのあと少しずつミルクを飲みだし、元気を取り戻してくれたという出来事がありました。
それからはもう、あずきはおはぎにベッタリ、おはぎには特別可愛く甘えます。
私には飴とムチを使ってくるので、毎日「ツンデレ」な対応に振り回されていますが、これでも距離は縮まったくらい。何せ、なでることすら拒否、でしたから。笑
今は甘えた声で、スリスリしてくれるようにもなり、その度に鼻の下を伸ばしています。
客観的に自分を見ると、可愛くて若い女の子を見つめるオジサンのようでしょう。
またあずきは、可愛い声を武器にすることを理解しているのか、意図的に使ってくる。
女性が上手に使うとモテるとされる「あざと可愛い」を、どこで習得してきたのだろうか。
イタズラをして怒られそうにな時なんて、特にそうだが上目遣いで可愛い声で訴えてくる。
完全に武器を駆使して、手のひら、いや、肉球でプニプニと転がされているのだ。
もちろん怒られることを回避したあとは、「ごはんか、おやつのときは声かけてね。」と背中で語りながら、しらんぷり。まさにあざと可愛い猫なのです。
肉球が全てを円滑にする
まぁ、タイトな仕事をこなすのが私の本来の姿ではなく、彼女たちに手のひらで、あっ、肉球で転がされている日々を送っているのが裏の顔。猫なで声、赤ちゃん言葉、デレデレと鼻の下を伸ばしている。
人に見られたら恥ずかしい姿と分かっていながら、家ではいつもこんな感じだ。裏の顔というより、これが本当の姿なのだろう。
私もそうですが、人は生きていくために鎧を着たり、仮面をかぶって自分を演じているところがある。
仕事をするうえで、もしもこんなフニャフニャした姿を見せてしまうと、誰も安心して仕事を任せようと思ってもらえないだろう。人間は「外見より中身」ともいうが、それは中身を知るところに至るまでのコミュニケーションを取れた場合ではないだろうか。
やはり第一印象は、雰囲気を含めた「外見」が重要な割合を占めているはず。でも鎧を脱いで、仮面を外す時間をもつことは、とても大切なこと。
ずっと肩の力を抜けずにいることで、ストレスがたまり、きっと心も病んでいくでしょう。
ストレスがたまると、仕事の効率も悪くなり、コミュニケーション能力も低下するなど、結果的に悪循環を招いてしまうことになるのです。
私の場合、こうして肉球で転がされることが、仕事の効率を高めてくれる原動力であり、美容にも良い影響を与えてくれているのです。
また、自ら癒しの環境を生み出そうと、意図的にストレスを回避しようとすることも、かえってそれがストレスになる場合もある。彼女たちと過ごす時間が、私を「ストレスフリー」にしてくれているのだ。
そして彼女たちと暮らし始めたことで多くの学びや気づきもあった。例えば、相手の心を読むチカラを磨けたのだって、彼女たちと暮らし始めたことが大きく関係している。
「私たちのお陰でストレスフリー。色々貢献しているんだから、おやつの回数くらい増やしてよ。」と言われたら、きっと拒否はできないだろう。
なぜ、保護猫との暮らしが人生を変えたのか
猫と暮らしてきましたが、過去に見送った子達は、譲り受けた子、またペットショップ前に捨てられていた子でした。私自身、保護猫と暮らすことにおいては、“おはぎ“と”あずき“が初めてでした。今までの子と同じように、仲良く遊んだり、一緒に寝たりすることも普通にできると思っていました。
なぜ保護猫との暮らしが人生を変えたのかというと、今までと同じ感覚で引き取って、晴れて家族になってから「そんな甘くないぞ!」と痛感させられたからです。
実は、おはぎもあずきも、ふれあえるようになるまで半年以上はかかりました。あずきに関しては、まだまだですが。笑
今では甘えん坊のおはぎにも、最初はよく威嚇をされていました。触れたい気持ちはあるものの、怖がらせたり、嫌がることはしたくなかったため、みだりに近づいたり触れたりはしませんでした。
初めてのことに戸惑っていたのは母も同じでしたが、「食べること、寝る場所を用意してあげるだけでもいい」と、見守ることを考えた母。
猫は嬉しいときなどに、よく喉をゴロゴロとならすのですが、おはぎは一生涯、ゴロゴロと喉をならしたり、安心して眠ったりすることを知らずに過ごすのか。
それはあまりにも可哀そうではないかという想いから、距離感を保ちながらおはぎに話しかけ続けていた私。
それぞれの考え方は違っても「想い」は同じ。おはぎにとって「何が一番心地良いのか」、「何を望んでいるのか」ということだけ。
言葉を話せない、どんな怖い思いをしたのかも知らない、何に恐怖心があり、何を求めているのか。相手のことを「知ろう、わかろう」とすることから始めること。これがどれだけ大切なのか、そして本気で向き合えば伝わるということを気づかせてくれました。正直、自分のこと以外でここまで真剣に悩んで、考えて、苦しんで、喜んだことはなかったかもしれない。でも伝わったり、少しでも変化があるだけで、こんな幸せな気持ちになれるということにも気づけたのです。
相手のためにそこまで真剣になんて「キレイごと」と思うのは少し違って、これができるようになると自分にとってもメリットが生まれます。本当はどんな人なのか、何を求めているのだろうかと、読み解く力がつくことで対人関係のコミュニケーション能力は確実にアップするでしょう。
保護猫の彼女達との暮らしは、誰かの幸せを願うことで、自分に幸せがこだまのように戻ってくることを気づかせてくれたのです。このことは、私の人生観を大きく変えた出来事でした。
自分に余裕がなくなると、人間は周りが見えなくなってしまうことがあります。他人どころじゃない、誰もがそうなってしまうのは自然なこと。しかし自分本位になることで、冷静さを失ったり、小さな幸せすら見逃してしまうことになる。その結果、もしかしたら本当に自分を大切に想ってくれている人や、本当に大切なものを失ってしまうかもしれない。思いやる気持ちを持ち、相手に寄り添い過ごすことで、辛さは半分に、喜びは二倍になるというのは本当だ。言葉も話せない彼女たちが気づかせてくれたことは、とても大きなことだった。本当に感謝をしている。
こうして彼女たちのことを綴っている今も、隣で気持ちよさそうに小さな寝息をたてて眠っている。何気ないこの幸せは、向き合ったことにより得られたものであることを、書き記すことにより改めて実感しています。個性が強い彼女たちの特徴が、メインのようになってしまいましたが、機会があれば、また彼女たちのことを書いてみたいと思います。
美肌研究家 ライター
手軽、ナチュラル、透明感ある美肌作りの提案を得意とする美肌研究家。
コスメ、アンチエイジング、スーパーフードなど、美容に関する様々な資格を保有。その知識を活かしながら、シーンに合わせた美肌メイクや大人可愛い魅力を引き出すメイク、無理なく続けられる美容法などのコラムを数多く連載。