仕事やプライベートがなぜか思い通りに進まないときは、運のせいにする前にコミュニケーション力を見直してみると劇的に変わるかもしれません。実は仕事もプライベートも思いのままにしている人は、上手なコミュニケーションができている人がほとんど。
そんな中、最近は上手な言葉のセレクトができていない大人も増えてきているとか。しかも、言葉のセレクトが上手にできていないことに気づいていない場合が多いというから怖いですよね。
今回はそうした人に共通する特徴や、大人のコミュニケーション力をアップするための秘訣を、話すことやコミュニケーションのプロでもある、フリーアナウンサーの乙坂さんにレクチャーしてもらいましょう。
コミュニケーション下手は「カワイイ」を使う?
若い女性だけではなく、今や40代、50代の女性でも「カワイイ」という表現を頻繁にするようになりました。ジュエリーショップに行っても、フレンチに行っても、ジーンズショップに行っても、全て「カワイイ」と言う人がいて、これには正直違和感しかない。
「・・・この人、何歳?」
一般的に日本語を90%理解するには、10000単語程度必要と言われています。英語は約3000語、フランス語は約2000語、ドイツは約5000語と言われていますので、こうして見てみると日本語は単語数が多いですよね。
個人的に、日本人の言葉の感性は、ちょっとした感情や想いを、微妙に意味合いの違う単語に込めて表現することで培われてきたと想像しています。
そもそもの「可愛い」を紐解くと、小さいもの、弱いもの、無邪気で、憎めない、すれてなく、子供っぽいものに使う形容詞です。前述の女性は、もっと適した形容詞や表現があるはずなのですが、「カワイイ」しか出てこない。これは、もったいない。
おそらく、いい大人ですから言葉を知らない訳ではなく、言い慣れてないから出てこないのだと思うのです。
おまけに何に使っても「カワイイと感じるのは自分の感覚」だし、曖昧に褒めるニュアンスなので間違ってはいないしという、感性麻痺を招く恐ろしく万能な言葉。
しかも「カワイイ」は、口を大きく開けてしっかり発音せずとも、口の動作的にも簡単に言える楽チンな単語なのです。
ですから、一度使い始めるとその魔力に取り憑かれてしまい、何も考えていない、なんとも薄っぺらい人に見られてしまう可能性があるのも事実。
こうなるとコミュニケーション力が低下するだけでなく、魅力の半減にもつながってしまうため、仕事やプライベートを充実させることをより困難にしてしまうでしょう。
大人なコミュニケーション力を磨くなら、条件反射になっている「カワイイ」を、やめてみることから始めてみましょう。
「カワイイ」はNG? コミュニケーション感性を磨くコツ
まずは初歩的なところからスタートさせていきましょう。例えばジュエリーなら「素敵、綺麗」、フレンチは「繊細・美味しそう」ジーンズは「かっこいい・ワイルドな」などと言い換えてみませんか。
そのうち、「眩い」「奥ゆかしい」「たおやか」「楚々とした」「凛とした」「豪快な」「涼しい」など、ワンランク上の単語も使えるようになってきます。こうしたワンランク上の単語が使えるようになれば、表現に幅が出て周りからの見られかたも抜群にアップしますので、大人のコミュニケーションが成立するでしょう。
決して可愛いという言葉を使うことがダメというのでなく、何でもかんでも「カワイイ」と表現するのではなく、様々な単語を活用して相手にきちんと伝える表現をを心掛けることが重要。
たった1つのコツ、それはその単語を一回でも「使ってみる」ことが大切です。
この単語は素敵だから、チャンスがあったら是非使おうと虎視淡々と狙っていないと、なかなか自分のものにはできません。逆に一回使えたら、あとは驚くほどスルスルと出てくるので、ぜひ今日からでも試してみる価値あり。
何気なく使ってしまいがちな「カワイイ」が、まさかコミュニケーション感性を低下させてしまう可能性があるとは驚きでしたね。大人のコミュニケーションを習得するために、1日1単語を使ってみるのを目標にしてみませんか。
PRコンサル会社代表として各企業の広報活動に参加する傍ら、現役フリーアナウンサー・司会・タレントとして活動中。AKB48の生みの親、秋元康氏が初期に手掛けたアイドルグループ「オールナイターズ」でデビュー。