相手の気持ちを思いやる、これは日本人が得意とするところ。だからこそ、「断る」ことを苦手に感じている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、できるだけ相手を不快にさせずにエレガントにお断りする秘訣を、マナー講師のMasayoさんに解説していただきます。
まずは感謝する
お断りする前に、まずはお誘いくださったことへの感謝の気持ちをお伝えしましょう。お誘いするのも、勇気がいるものです。来てくれるかなとドキドキしながら誘ってくれたかもしれないのです。まずは「誘ってくださってありがとうございます」と、この一言は何よりも大切。お誘いしたいと思ってくれることは嬉しいことなのです。心を込めて感謝を伝え、その上でお断りしましょう。
また、マイナスな感情を伴う内容をお伝えする場合ほど、より柔らかな言葉遣いを意識しましょう。クッション言葉を入れることで、より相手のことを思う気持ちが伝わります。
クッション言葉とは、「恐れ入りますが」、「申し訳ございませんが」といった、伝えたいことの前に一言添えることを指し、相手への気遣いを表現できる言葉です。「本当に残念ですが・・・・・・」、という一言があるかどうかで、受け取る側の気持ちは随分変わるものです。
お断りする時ほどなるべく早く
なんとなく断わりにくくて、お返事を後延ばしにしてしまうことってありませんか。しかし、お断りする時こそ早くお返事をする方が良いのです。お断りのお返事をなるべく早くすることで、他の方をお誘いできる場合もあるからです。
他の方が、もう少し早くお誘いいただいていたら伺えたのに・・・・・・ということにならないよう、自分が言いにくいという気持ちより、大人のマナーとして、まず相手の状況を考えるようにしましょう。
嘘はつかない
伺いたいけれど、先約があって無理な場合は、理由も伝えやすいですね。しかし、あまり気がすすまない場合、何と言ってお断りすれば・・・・・・と迷う人も多いはず。だからといって言い訳がましく、あれこれとお断りする理由を述べるのは逆効果。最近ではSNS等でお断りした理由が嘘だったとバレてしまうことも少なくありません。嘘は印象を悪くするうえ、SNSでの配慮も必要になってきます。
では、具体例をご紹介しますので、参考にしてみてください。
行きたかったのにお伺いできない場合
またお声かけくださいの気持ちまで、しっかりとお伝えするようにしましょう。
「お誘いありがとうございます。お声かけくださってとても嬉しいのですが、その日は既に予定が入っておりまして、お伺いできません。本当に残念です。これに懲りずに、またお誘いください。」
全く興味のないことに誘われた場合
「誘ってくれてありがとう。申し訳ないけれど、私、そういうことには全く興味がないので、本当にごめんなさい。」とはっきりお伝えします。ストレートに伝えることは勇気がいりますが、「また違う日に」とあらためてお誘いいただくことを避けるためです。そのためには自分がどんなことに、時間とお金を使いたいかを、自分自身の中で明確に持っておくことも必要ですね。
お断りしたからと言って、相手との関係が駄目になってしまったりはしません。もしそれで駄目になるなら、それだけの関係だったと考えて割り切ります。エレガントというのは、自分で自分の好きなもの、大切なものを選び、自分の人生を創っていくこと。大げさかもしれませんが、日々の一つ一つの選択を大切にしてくださいね。
マナースクール Mエレガンスアカデミー 代表
グレース・ケリーも卒業生であるフィニッシングスクールにて幅広く研鑽を積む。幼少よ り茶道・華道を嗜み、着物着付け講師の資格も持つ。上質で心掴むマナー・立ち居振る舞 い・コミュニケーション術の講座を開催。
著書:「オトナ女子のふるまい手帖」なぜか大切にされる女性になるマナーと心得 56